沁みる、痛いという症状と虫歯 December 2017

12月は師走というようにいろいろ忙しくなる事が多い時期です。しかし、忙しい時こそ歯の痛みが訪れる事があります。体のどこかに異常があっても普段は体が抑えてくれている場合があり、しかしいろいろなストレスにより体の免疫力、抵抗力が下がり化膿や炎症を抑えられなくなるのです。もちろん、歯医者としてはそうなる前に問題を治していただきたいところです。しかし、痛みが無ければ気にしない、また口内の健康はいつも忙しくて忘れているという事は簡単にあり得ます。でも、歯と歯茎の健康は体の健康と密着していてとても大事なので、本当に気にして下さい。前に虫歯は大部分痛く無いという事を書いています。虫歯も歯槽膿漏も大部分痛く無い!? September 2012を宜しければホームページ上でお読みください。沁みているから虫歯がある、また逆に痛くないから虫歯では無いという考えは両方ちょっと違います。そこで、今回は良く患者さんから聞く沁みるという症状とそれの原因を説明し、また痛みと虫歯の関係についても書きます。

患者さんから冷たいもの、温かいもの、また甘いものが歯にあたると沁みるという事で虫歯ではないかと聞かれる事があります。もちろん虫歯である事は考えられます。しかし本来沁みるという症状は何かしらの原因でエナメル質を抜けて中の象牙質が外と通じてしまった地点でおこる事です。虫歯が象牙質に届いてしまう事はもちろんあります。歯ぎしりでエナメル質を削ってしまう事もあります。歯茎が下がってしまうと歯根が出て来てしまい、ここはエナメル質に覆われていないので沁みだす事もあります。また歯根はエナメル質よりも柔らかいので、ここが削れてしまい穴が開いてしまう事もあります。実際象牙質はエナメル質よりも柔らかいので、虫歯にもなりやすいし虫歯の進行も速くなるところでもあります。象牙質にはその内側にある歯髄からたくさんの細い穴が表面に向かって繋がっています。電子顕微鏡でしか見えないほどの細さなのですが、この穴を通じて歯髄が刺激されるので、象牙質を触ると沁みるという症状が起きるのです。甘いものが沁みる場合は虫歯菌がいると虫歯菌は糖分と接するとすぐに酸を出し始めるので、これがやはり歯髄への刺激になるのです。

もちろん、象牙質が外に出ているから沁みるという事であれば、この象牙質の表面にあるたくさんの穴を埋めて中の歯髄との繋がりをなくしてしまえば沁みなくなります。従って、虫歯があれば虫歯を取り除いて詰め物をすればよいわけです。また、虫歯が原因ではなく、歯茎が下がってしまっているだけであれば、この歯根のところに特別な薬を塗って象牙質上の穴たちを埋めてあげれば沁みなくなります。もし歯根のところが削れてしまっているようであれば、そこはやはり詰め物で埋めてあげればよいのです。

しかし、もうひとつ解っている事があります。もしも象牙質が見えてしまっていたとしても唾液内の成分が象牙質の表面の穴たちを埋めてくれる場合があります。つまり、放っておくと何日間かすると沁みなくなるのです。もちろん、沁みなくなっても、この箇所が虫歯の酸、また歯ブラシ、また酸性の飲み物で溶けたり削れたりすれば、また沁みるという事が起こります。虫歯に関しては、象牙質の中に穴を開けていく際、こんどは象牙質が溶けて細かい穴がふさがるという事が起き、沁みる事が無くなります。従って、虫歯で沁みる場合は象牙質に入りたての時で、そこからは沁みたり沁みなかったりで、ある程度大きくなると何も感じなくなります。しかも人はそれぞれで、ちょっとした事でも沁みる方と全然沁みない方がおられます。従って、沁みる、沁みないという症状だけでは虫歯のあるなしはわかりません。

他にもうひとつ沁みる症状がある場合があります。歯にひびが入っていると噛んだら痛い、また冷たいものが沁みるという事が起こります。ひびが象牙質まで届いていると沁みますし、噛むとひびが入っているところがずれて痛みを感じるのです。歯にひびが入っている場合はひびの大きさによって治療の程度が変わります。

また、沁みるというよりも歯が本当に痛くて夜も眠れないという症状は歯髄が炎症を起こし、死んでいく最中に起こります。そして、歯髄が死んでしまった後は痛みは少しの間おさまるのですが、今度は歯髄が腐ってしまい、その後歯根の先が化膿してしまい痛み出します。歯髄が炎症を起こし死んでしまう状態になるのは虫歯が歯髄に触っているか、またはとても近くにいっている時です。歯髄から歯の外に向かって開いている穴たちは歯髄に近いほど直径が大きくなります。従って、虫歯がある程度歯髄の近くまで届いてしまうと歯髄を侵し炎症を起こさせてしまいます。もちろんここまで虫歯が進行する前に虫歯を治す事を本当にお勧めします。

基本的に虫歯が象牙質に達してしまっていたら出来るだけ早く治すべきです。実際はエナメル質の幅を半分以上越してしまっている地点ではやはり治すべきです。エナメル質の深さは一番多いところでも2.5mmぐらいで、歯の個所によってはとても薄いところもあります。従って、予防に気を使って下さい。治す必要性がある場合には出来るだけ早く治していただきたいです。もちろん、一番大事なのは予防ですので毎日の歯磨きとフロスを良くし、歯医者さんでの定期検診とクリーニングをして下さい。検診、クリーニング、そして治療のためにはお電話下さい。

 

 

 

 
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