虫歯も歯槽膿漏も大部分痛く無い!? September 2012

皆さんもご存知のようにアメリカでは9月が学校の新しい年の初めになっています。
暑い夏が終わり、新しい学年の門出というイメージがあります。アメリカに長く住んでいると普通の事に感じますが、日本での4月からの新学年の始まりになれている方には変な感じかもしれません。しかしアメリカでは新しい始まりという事になりますから、それにちなんで、もし歯の毎日の手入れ、また虫歯の治療を怠っていたのであればそれらを新たに頑張ってする事も良いと思います。ところで、虫歯も歯槽膿漏もその進行の中で大部分は痛くありません。
人によって痛みの感じ方は違うので、とても敏感な方とそうでない方は必ずおられます。しかし、虫歯も歯槽膿漏も通常じょじょに進んでいくので、痛くない時の方が痛い時よりも多いのです。そこで、今回はこの経過について書かせていただきます。

まず虫歯は外側のエナメル質内では痛みはまずありません。しかしその中の象牙質に虫歯が入ると象牙質にはその中にある歯髄(歯の神経)から細かくたくさんの穴が歯の表面に向かって開いているのでこの穴を通じて痛みが来ます。ですが、この痛みは普通ちょっと沁みる程度でそのうちになくなります。この際、私たちの歯髄はまず神経の表面に象牙質のバリヤーを作ろうとし、また、MMPというある特別な酵素を虫歯が進行している箇所に送りコラーゲンとタンパク質を破壊する作業をします。しかしバクテリアを退治するというよりもこの酵素は象牙質そのものを破壊しやわらかくする事を主にします。そして、この溶けた象牙質はつまり神経から通じている穴をふさぐ事もします。従って、虫歯は進行していくのですが、その周りの象牙質は溶けて歯髄に繋がる穴が塞がれ、また歯髄の方でもその穴が通じる所に薄く新しい象牙質(実際は象牙質にとても組織が近い物)を作り出来るだけ神経をバクテリアから守ろうとします。もちろんこれがおこると痛みを感じないでいられるわけです。この事は前のニュースレター象牙質内の虫歯の進行と痛み July 2010にもう少し詳しく書いています。

もし虫歯を放っておいて歯髄まで虫歯が達してしまうと大きな痛みが来ます。しかし、これももしがまんして放っておき歯髄の神経が完全に死んで腐敗するのを待つと痛みがおさまります。しかしこれを放っておくと今度は歯根の先端つまり体から歯に神経が入っていく歯骨の所が侵され化膿しまた痛みが来ます。ところが、この時点でも私たちの体はこの化膿した部分も抑えようとしてくれ、化膿しているのだが、やはり痛みがおさまり得ます。ただ、少しずつダメージは続き、そしてある時に体が抑えられなくなり痛みや腫れが起こります。だいたいこの痛みや腫れは風邪をひいたり、疲れていたり、ストレスがあったり等と体の抵抗力が下がっている時に一番起こりやすいものでもあります。もちろん、めちゃくちゃに大きなダメージが起こる前に虫歯を治しておくべきですし、出来るだけ小さいうちに治した方が歯にも体にも良いのですが、私達の体は出来るだけ虫歯による痛みが無いようにしてくれているのです。

この事は歯槽膿漏でも同じでやはり大部分痛みは無く、しかしじょじょに歯茎と歯骨を侵していきます。歯と歯茎の間にバイ菌が住みつき、そこを侵していき歯と歯茎の繋がりを無くし、骨も溶かしていき最終的に歯の周りの支えを無くならせてしまい、歯を失くしてしまうのが歯槽膿漏です。この場合、体がバイ菌に対応し炎症を起こし、その炎症が歯茎、そして骨を分解してしまうのですが、しかしこれも実際は私達の体がバイ菌から身を守るために歯茎と歯骨をわざわざバイ菌から離すために退去させているとも考えられます。退去した所には放っておけばバイ菌は進行していきダメージが続いてしまうのですが、実際は私達の体が炎症を起こし自ら歯茎と骨を少しずつ破壊しているので大部分痛みはありません。ただ、歯茎から血が出る、また口臭がするなどの症状はあり得ます。歯骨は無くなってしまうと治療をしてももとには戻りません。したがって、出来るだけ早めに治療をするべきですし予防もとても大事なわけです。歯槽膿漏の予防も治療もまず物理的に歯と歯茎の間のバイ菌を取り除く事なので、歯医者さんでのクリーニングは是非定期的に3ヶ月から6ヶ月ごとにはして下さい。

虫歯も歯槽膿漏も痛く無いから気にしないで良いと思わないで下さい。少しずつ歯と歯茎を侵して進行しているのです。まずはならないように予防に気をつけ、そして虫歯も歯槽膿漏も出来るだけ初期のうちに治す事を本当にお勧めします。もちろん、治療また検診、クリーニングのためにはお電話下さい。

 

 

 

 

 
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