骨を大切にする April 2017

歯と歯茎の健康はとても大事です。もちろん、歯を支えている歯の周りの歯槽骨も大切です。そこで、今回は歯槽骨についていくつか書かせていただきます。

歯周病は骨を溶かします。何回も書いていますが、歯槽膿漏のバイ菌が歯と歯茎の間に入ると、歯茎が炎症を起こし、そして骨が無くなっていきます。炎症物質がバイ菌を破壊して退治しようとするのですが、それはできず、自分の骨を破壊してしまうのです。バイ菌が骨を直接溶かしているというよりも私たちの体自身が体に害があるものから離れようとして骨を破壊しているとも言えます。また、虫歯もとても進行してしまうと歯根の先端の骨が無くなってしまいます。虫歯が進行して歯の神経も侵して殺してしまうと、中は化膿し、歯根先端の神経が歯に入っていくところも化膿し、そこにある骨はやはり溶けてしまいます。つまり歯槽膿漏も虫歯も骨に害を与えます。治療は出来ますが、骨にたくさん害がある前に治しておきたいですし、もちろん予防が大事ですから、歯磨きとフロスは良く毎日して歯医者での定期的な検診とクリーニングをして下さい。

もちろん、歯は健康な状態で残しておきたいですが、歯槽膿漏や虫歯があまりにも悪化してしまうと歯は抜くしかないという事になってしまいます。しかし、歯は失くしてしまうと、そこの骨はだんだん縮んでいきます。簡単に言うと、私達の骨は支えていた歯がないとそこにある必要性がないので、無くなっていくのです。また、いつも噛んでいる力は歯槽骨にも刺激を与えていて骨をそこに保とうとします。従って、例えば歯が全部無く、総入れ歯をしていた場合、長い目でみると、骨は縮小していき、いつかは入れ歯がゆるくなり、また顎の骨も薄くなります。骨に埋めるインプラントはこの事を防ぎます。これは骨に埋まっているものがあり、そこにまた噛む力が加わるようになるからです。

また、骨については書いておきたい事があります。骨というものはいつも普通に自ら壊され新しく再生されていくものです。つまり出来上がったらそのままなのでは無く、 常に少しずつ古い骨は壊され、新しい骨といれかわっていくようにできています。この事が骨を強く丈夫にしています。もちろん、だからといっても歯槽膿漏で失くしてしまった骨は自ら元に戻っていくという事はありません。ダメージがあってもう骨と歯根はうまくは繋がれません。また、骨の再生は周りにある程度骨の枠組みが無いと起こらないのです。しかし、骨をたすという治療法は今はあります。一番良い例が歯を抜いた時にする骨をたす治療です。歯を抜いてその穴に特別な粒上の骨になる物質をいれると、私たちの体はそこに骨を作る細胞を送り、自分の骨とこの物質を入れ替えてくれるのです。骨はいつも再生しているという事を利用していて、この粒子は人口のものと牛の骨を特別に消毒と加工したものとがあります。どちらも3か月後ぐらいには無くなり、自分の骨と入れ替わります。自分の骨をどこからか削りとってこの治療に使うという事も出来ますし、されてはいますが、今は体の他の部分に傷をつけることになるので、あまりされていません。そして、この治療をするためには自分の骨である程度囲まれているところでないと、骨を作る細胞が粒上の物質の中に入っていけないので、例えば、平たい骨の上にのせてもそこでは何も起こりません。従って、歯槽膿漏などで、平たく骨の位置が下がってしまったところなどでは出来ません。しかし、ある程度は骨をたす事ができるのは確かです。

この骨の再生に関係している事柄がもうひとつあります。骨粗しょう症の事をご存知な方もおられると思います。これは骨がもろくなってしまい、かんたんに割れてしまうようになる現象です。歳をとり、また良く栄養をとっていなかったり運動不足であるとおこりますが、それと共に女性であると閉経によって女性ホルモンのエストロゲンの分泌が少なくなると起こりやすくなります。これは、エストロゲンがこの骨の再生にかかわっていて、骨を壊す作業をこのホルモンは和らげる働きをするからです。つまり、女性の場合、エストロゲンが少ないと骨は前よりももっと簡単にこわされ、しかし新しく作られる骨はそれについていけなくなってしまうのです。これが骨の密度を下げてしまいます。困った事に骨粗しょう症のために良く処方される薬のビスフォスフォネート製剤は顎の骨と関係しています。この薬は骨を破壊する細胞が働かないようにし、つまり古い骨を残させる事で、骨をもろくしなくします。長い間この薬を服用していると、この薬は骨の中に蓄積され、そして、新しい骨は出来ていかず、古い骨が残っていきます。顎の骨には食物を噛む力が毎日加わるので、普通は他の骨よりも10倍ぐらいの速さで骨の再生がおこなわれています。しかし、そのため、ビスフォスフォネート製剤は多く顎の骨に蓄積されます。つまり、長い間この薬を服用していた場合、歯を抜く、またインプラントを入れるという事が出来なくなります。これは骨が治らなくなってしまうからです。一応、長い間、しかも高い量の薬を服用している場合の事ではあるのですが、もしビスフォスフォネート製剤を服用しているのであれば、必ず歯医者にそのことを伝えてください。

私たちの体のどの部分もとても良く出来ていて、複雑な事をいつも普通にしています。ですから、体全体を大切にしてください。歯と歯茎はもちろん大事ですが、歯を支えている歯槽骨も大事です。骨のためには前に書いた記事の カルシウム April 2010 をホームページ上でお読みください。いろいろ歯、歯茎、そして歯槽骨の治療法は発達して優れて来ていますが、やはり、一番大事なのは予防です。虫歯も歯槽膿漏も非常に悪くなる前に治療をしてください。もちろん、検診、クリーニング、治療のためにはお電話ください。

 

 

 

 

 
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