2人のおじさんと両親  October 2015

歯についての記事をオンラインで検索していた所、ある記事を発見しました、日本のプレジデントという雑誌の2012年11月12日号に老後についての特集記事がいろいろ載っていました。この中にリタイヤ前にやるべきだった後悔トップ20をシニア1000人に調査というものがあり、その中の"健康"の後悔トップ20の第1位は"歯の定期検診を受ければよかった"という事でした。きっと齢をとった時に歯を失くしたり放っておいて大きな歯の問題を起こしてしまった方たちが多いのだろうと思いましたが、この記事を読まれた方はその時からだとしても歯を大事にしてくれる可能性があるとも思いました。少しずつでも良くなってきていると思いたいのですが、日本には歯の定期検診とクリーニングというものがまだまだ普通とはなっていないようなので、日本人の歯に対する健康意識の向上にも繋がる日本の雑誌の記事と思いました。そして、この記事を読んだ後、私の2人のおじさんと私の両親の歯の健康状態の違いを思い出しました。たくさんの方を統計したデータとは違いますが、今回はこの4人の歯の事を書かせていただきます。

私の父は1968年にアメリカに駐在員として来ています。一緒に母と弟と私も来ていて、その時はニューヨークに住んでいました。それから2年後に日本に皆戻っているのですが、父の後任の方が事故にあってしまい、またすぐ父はアメリカに戻りました。その後、西海岸へ進出と言うことで父はこの南カリフォルニアに転勤しました。私と弟は1970年から1974年までは日本にいたのですが仕事の関係からアメリカが長くなるという事で1974年にこちらに来ました。それから両親も私たち2人の息子たちもアメリカに住んでいます。従って私の両親も弟も私も40年以上アメリカに住んでいます。ちなみに私は高校1年からはアメリカにいます。バックストーリーがちょっと長かったですが、この中で私たちはアメリカ社会の中での生活をしていたので、みな歯医者には普通に定期検診とクリーニングに行き、もちろん治療が必要であれば治していました。昔のことですからアメリカの知人に紹介してもらった白人のアメリカ人の歯医者に普通に通っていました。もちろん日本に親戚はたくさんいて、アメリカに訪ねて来る事もたまにありました。

私が歯医者になったのが、1988年で私のオフィスを開いたのが1992年なのですが、その5年後に私は2人のおじさんの歯を診ました。両方とも母の兄なのですが、一人は日本からアメリカに訪ねてきた際、変に言えば面白半分になのですが、私に歯の検診をしてくれと言うことで、彼の歯の検診をしました。そのころは彼は60歳あたりなのですが、ずいぶん歯は無くなっていて残された歯の状態も良いとは言えませんでした。定期検診もクリーニングもしておらず、もうひとつ気になったのが、治してある歯にもいろいろ問題が診えてしまった事でした。それに比べて私の両親は親知らず以外には歯は皆あり、歯はとても良い状態でした。もちろん私は歯医者になってからは両親の歯を診ていますが、2人とも私が歯医者になる前から定期検診、クリーニングをしていて、私はつまり前の歯医者さんから引き継いで両親の歯を診ています。今は私は両親の歯の定期検診とクリーニングは2ヶ月ごとにしています。しかし日本に住んでいた私のおじさんは定期検診もクリーニングもずっとしておらず、しかも治療さえもベストとは言いがたいものをされていました。もちろんこの3人だけ診て全体図はこうだとは言えませんが、これは住んでいるところの歯の健康に対する意識の違いを見せていました。このおじさんの歯は診ることは出来ても治す時間はありませんでした。

やはり同じ年の1997年に私はもう一人のおじさんの歯を診ています。彼はアメリカの大学を卒業し、その後日本以外のいろいろな国に住みそのころはアメリカ東海岸の方に住んでいました。私の母には3人の兄がいて彼ももうひとりの兄でした。彼は日本には長い間住んでおらず、しかし歯医者にはずっと行っていませんでした。その世界ではちょっと知られている宗教学者で教授でもあり、講演をするためロサンゼルスの方まで来る事も割とあり、そのため前のおじさんとは違い、彼は出来れば歯を治してくださいという事でした。彼の歯は診てみると、やはり定期検診とクリーニングはしていないのですが、治療もしていませんでした。虫歯は実際は多くあったのですが、私が集中的に短期間に治す事が出来るものでした。もう一人のおじさんの歯は治してある歯にも問題があり、治すのであればおおがかりだというものだったのが、何もしていなかったこのおじさんの歯は小さな治療ではなくてもすっきりと治療が出来ました。前に治してあるものが変であると次に治すのが大変になるのが、それが無かったのです。困ったことに日本での歯の治療の質に疑問を抱く例が前のおじさんの歯となってしまいました。

前に日本とアメリカの歯の健康意識のギャップについて 質と量と需要と供給 January 2008に書いているので、よろしければホームページにいってお読み下さい。私はこのギャップは保険制度の違いと歯の健康に対しての国民全体の意識の違いから来ていると考えています。定期検診とクリーニングは誰にも本当にお勧めです。治療の質に関してはいつも言っていますが、歯医者はどの国でもぴんからきりまでの方がいますが、その中で日本の保険制度には費用削減のために治療にいろいろな制限がありその中での治療にはどうしてもどこかに無理が生じることを患者さんには解っている必要性があります。

日本人の歯の健康への意識は少しずつでも高まっていると私は思っているし、そうである事を願っています。皆さん、最初の紹介した記事での歯の定期検診をすれば良かったという後悔の無いように歯の健康を本当に大切にしてください。今現在私の両親は80歳を超えていますが、歯は今のところ健全です。私のおじさんは二人とも今は他界しています。定期検診の大切さについては歯医者での定期的なクリーニングとチェックアップ January 2013に前に書いているので、よろしければこれもホームページでお読み下さい。定期検診、クリーニングのためには、そしてこの機会に良い治療をしようとも思われましたらお電話下さい。

 

 

 

 

 
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