虫歯と脳内出血  June 2024

     

ある歯科の勉強会に行ったら、私たちの体内に住んでいるバクテリアの数はとてつもなく多いと言っていました。オンラインで調べてみると、通常一人の人間内には、だいたい38兆のバクテリアが住んでいて、一人の人間を作っている人間の細胞はだいたい30兆になると記載されていました。つまり、私たちの体内にいるバクテリアの数は私たち自らの細胞の数よりも多いのです。そして、このバクテリアたちは、私たちの健康、気分、そして自分で選んでしていると思っている行動さえにも関与していると今は知られています。従って、どういうバクテリアがどれだけ体内に住んでいるかは私たちの健康に、また人生にも、とても大事なのです。しかも私たちの体にはいろいろな臓器や箇所がありますが、実際は全部が一体として繋がっています。そして、口内のバクテリアは体中に血流を通して回っています。何回か前に歯槽膿漏と体の他の病気や障害との繋がりについて書いていますが、今回は虫歯菌のミュータンス菌と脳内出血の関係について書きます。

虫歯菌として一番良く知られているのが、ミュータンス菌です。実際はミュータンス菌だけが虫歯菌なのでは無いのですが、虫歯があるとその中には多くミュータンス菌がいるという事が判明されています。もちろん、虫歯が多い方にはミュータンス菌が口内にたくさんいる可能性が高いです。

そして、虫歯と脳内出血に関する研究データがいくつかあり、今回はその中の二つを紹介します。2021年に発表されたあるアメリカでの研究ではなんと30年間6506人の健康状態をモニターしました。体の状態を診たわけですが、この研究では虫歯があるか無いかもチェックしたのです。最初の15年間はみな若いという事もあって、脳卒中などというものは診られなかったのですが、次の15年間には脳内出血になってしまった方が出て来て、その時に虫歯があったか無いかを診てみると、なんと虫歯があった方は無い方に比べて4.5倍も多く脳内出血を起こしていたのです。今まで多く知られていた事は歯槽膿漏のばい菌が脳卒中に関与している事だったのですが、虫歯菌もだと考えられるのです。

しかも、もう一つの研究でも同じ結果が診られます。これもデータがとても長い年月のもので、2000年から2013年の間に台湾で23622人の方の調査をしたものです。この調査では脳卒中になった人にその時虫歯があったかどうかとその虫歯がどれだけ進んでいたかを調べたのです。また、脳卒中になっていない人も虫歯があるか無いか、またどれだけ進んでいるかしらべました。この研究では虫歯が多くしかも大きいつまり悪化していればしているほど脳卒中になる可能性が高いという結果が出ました。つまり、虫歯菌も体中に回っていて、脳にも悪影響を及ぼしていると考えられます。

ただ、もう少し研究で解っている事があり、口内のミュータンス菌にも種類があり、その中のある種類がこの脳内出血を起こしているのではないかと考えられています。つまり、虫歯があっても少しは安心とは言えるのですが、このミュータンス菌の種類は特別なものでもありません。

脳卒中には脳にある血管が詰まって起こる物と脳内の出血で起こるものがあり、実際はこの出血でおこるものは脳卒中の20%ぐらいだとされています。しかし、出血で起こる物の方が重体になりやすく、もちろん死ぬ事も多くあります。従って、死ぬかもしれないと言うと大げさですが、虫歯を単に歯の問題だけと思わないでください。

みなさん、全体的に体の健康管理をして、その中で口内もやはり大事にしてください。良く毎日歯磨きとフロスをして、歯医者での定期検診とクリーニングもしてください。そして、虫歯も小さいうちに治してください。もちろん歯槽膿漏もです。定期検診、クリーニング、そして治療のためにはお電話ください。

   

   

 

 

 

 
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