フッ素はグッド June 2023  

去年の6月にも書きましたが、6月4日から10日は日本では “歯と口の健康週間“ です。また、6月はアメリカでも ”Oral Health Month” とされていて、まあ、皆さん、6月もはりきって、歯磨きとフロスをし、歯を大事にしてください。今回はフッ素はとても虫歯予防に役だっているものなので、フッ素の良さについて書きます。

フッ素は何で歯にそんなに良いのかと思われるかもしれませんが、フッ素は歯を硬くしてくれるのです。エナメル質は大部分Hydroxyapatiteという結晶でできています。そして、これは歯の表面の事なのですが、そこにフッ素を塗るとリンとカルシウムの結合しているHydroxyapatiteの結晶がフッ素も含んだFluorapatiteという結晶になってくれて、これ前よりも本当に硬くなるのです。虫歯菌は酸を作って歯を溶かすのですが、単に硬いものの方が溶けにくいわけで、普通のHydroxyapatiteは酸のpHが5.5ぐらいから溶け出すのが、FluorapatiteはpHが4.5ぐらいにならないと溶け出さないのです。もちろんpHの数値が小さい方がもっと酸性なのです。何回も書いていますが、歯は酸に触れると、表面が少し溶けて柔らかくなり、この事を脱灰と言い、そして唾液によって酸が中和されると溶け出したリンとカルシウムが歯の表面に戻る再石灰化という事をします。フッ素がリンとカルシウムと結合していると脱灰が少なくなります。しかも、再石灰化する際にフッ素があるとりンとカルシウムはフッ素が無い場合よりも良く歯の表面に結合するのです。それだけでなく、フッ素は虫歯菌が酸を作る事を抑制する事までするのです。つまり、フッ素は歯を虫歯にならないようにする物質なのです。

従って、歯の表面にフッ素を塗るいろいろな方法は皆虫歯予防に貢献するわけです。歯医者でお子さんに6ヵ月ごとの検診の際フッ素を歯に塗る事はとても理に適っています。Fluoride Varnish、つまりフッ素のニス、というべとべとしたものを歯に塗り、その後30分は食べたり飲んだり濯いだりしないで歯に良く効いてくれるようにするものです。研究データもたくさんあり、全体的にFluoride Varnishは虫歯予防効果があり、研究によって数値が変わるのですが、虫歯になる可能性が37%から43%ぐらい減るとされています。しかも6ヵ月ごとは良いともデータが示しています。一応、大人の方の歯にも効くのですが、だいたいフッ素塗布はアメリカでも保険は子供の歯だけカバーするので、一般的には主に子供の歯にされています。

もちろん、今だいたいの歯磨き粉にはフッ素が入っています。当然、虫歯予防にとても良いのです。本来、歯の表面に長くついていてくれた方がフッ素が歯の表面に繋がりやすいので、歯を磨いた後、濯ぐのは少量の水で1回だけという方法が今は勧められています。しかし、汚れを良く濯いで取り除きたいと思われる方も多いと思います。従って、歯を磨いた後、良く濯ぎ、そしてもう一度歯ブラシで歯磨き粉を歯に塗り、ただぺっと吐き出すだけにしてしばらく歯に歯磨き粉をつけておくという方法もあります。本当に虫歯になりやすい方には、普通の歯磨き粉にはフッ素が1450ppmぐらい入っているのですが、それを超えた5000ppmのフッ素ジェルを処方する事ができ、これを患者さんにお勧めする事もあります。この場合は歯に塗ってしばらくそのまま待つ事が出来ればそれなりに効いてくれます。一応、インビザラインやブリーチング用の歯につけるトレイがあれば、その中にジェルを入れて歯につけ10分なり30分なり待つという方法もあります。

フッ素は飲みこまないでいただきたいのですが、実際は歯磨き粉のチューブ1本いっぺんに食べるとかすごい事をしない限り問題あり得ません。今は歯磨き粉を飲みこみやすいと考えられるお子さんでも3歳からはフッ素入りの歯磨き粉を使うようにと勧められています。一回に歯ブラシにつける歯磨き粉の量は歯ブラシの3分の一から4分の一とそんなに多くしないで十分です。

虫歯のばい菌はバイオフィルムというべとべとしたものをつくり歯にくっついていくので、これは歯ブラシとフロスで毎日物理的にとる必要性があります。フッ素入りの歯磨き粉はそれと共に虫歯予防にとても貢献します。みなさん、毎日良く歯磨きとフロスをして、歯医者での定期検診とクリーニングもしてください。検診、クリーニング、そして治療のためにはお電話下さい。

  

 

 

 

 
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