ビタミンD3で虫歯予防 August 2022　　

いろいろなビタミンが体の健康に大切な事はみなさんわかっておられると思います。中でもビタミンDは体にとても良く、つい最近、今年5月、にある研究結果が発表され、ビタミンD3摂取は虫歯予防にもなるというデータがみえました。骨の健康にとても大事なビタミンなのはわかっていたのですが、私たちの虫歯予防にもなるのです。従って、今回はビタミンDについて多く書きます。

まず、この研究内容について書く前に一つ大事な事を書きます。日本人の8割の方はビタミンD不足であるというデータがあります。アメリカでも全人口の4割の方はビタミンD不足であるとされています。他のデータでは日本人の5割はビタミンD不足だというものもあるのですが、それでも量が多すぎます。これめちゃくちゃに悪い数値です。

ビタミンDの大きな役割は体にカルシウムとリンを吸収させるのを助ける事で、つまり血液内のカルシウムとリンの量を多くするものです。これは骨の健康にはとても大事で、大体の方はこの事は何となくでもご存知だと思います。というか、強い骨をずっと保つためにビタミンDは不可欠です。しかも、筋肉や筋などの健康にも関係し、炎症をコントロールする役目さえもあります。体の免疫効果にも関係し、殺菌作用のある物質を体が作る事も助けます。しかも今だに続いているコロナの症状を軽くする事さえもします。もちろん、骨の健康に良いという事は歯周骨も強く固くしますし、炎症をコントロールするという事は歯槽膿漏による歯茎の炎症の悪化を防ぐようにもするのです。つまり、ビタミンDは優れものです。

しかも、虫歯予防にも貢献します。随分前に子供の歯が出来上がって来ている時、作られていく歯へ多くカルシウムとリンが入るために子供のビタミンD接種は欠かせないと書いた事があります。ただ、歯が出来上がった後にはあまり関係ないと思っていました。しかし、そうでは無かったのです。唾液内のカルシウムとリンの量と歯の表面でおこっている再石灰という現象の関係を忘れていました。血液内のカルシウムとリンが多いという事は唾液内にもそれが反映されると考えられます。しかも殺菌作用のある物質が多く作られ、その物質が唾液内に多くあれば、もちろん虫歯予防に繋がります。

この新しく発表された研究では40人の方の唾液を6週間にわたってだいたい2週間ごとに収集しました。そしてこの方たちには1000IUのビタミンD3 を毎日一粒ずつ服用してもらったのです。また、矯正のために抜いた歯をとっておき、この歯を酸で弱めた後、この収集した唾液に12時間つけて歯の表面の硬さをチェックしたのです。難しい内容は避けますが、ビタミンDを毎日飲んでいると、その方の唾液は歯の表面をより良く再石灰する、つまり硬くするという事が結果として出たのです。歯は酸にさらされると溶けだすわけで、まず溶けだすものはカルシウムとリンなのです。ただ唾液によってこの酸が中和すると歯の表面にカルシウムとリンは戻ります。これを再石灰と呼び、もちろん唾液内にカルシウムとリンが多ければ再石灰はより良く起こるのです。虫歯はこの再石灰が歯を酸が溶かすことに追いつかないでいてそれが何回もおこると出来てしまいます。つまり、ビタミンDを毎日服用していると血液内だけでなく唾液内のカルシウムとリンも多くなり、虫歯予防になると考えられます。しかも唾液の殺菌作用も増すようなので、それも虫歯予防になります。

あまりにも良い事ずくめなので、ビタミンD不足の方が多いのは全然だめです。ビタミンDは鮭やイワシに多くあり、また日光浴をすると私たちの皮膚が作ってくれます。しかし、それと共にサプリメントで簡単に摂取出来ます。血液検査で血液内のビタミンDの量は簡単にわかるので、されたことが無ければ、健康診断の際、是非検査をして下さい。血液検査の結果に合わせてサプリの量を決めるのはベストです。また、ビタミンD3の方がD2よりもだいたい2倍に体の中でのビタミンDの量になると知られています。摂る量が多すぎてしまうという事はまず無く、実際は10,000IU　毎日摂っても問題ないというデータがあります。もちろん、とても量が不足している方は多くとる必要性があります。はっきりした量は人によって違いますが、私自身は毎日ビタミンD3 5000IU摂取しています。

みなさん、ぜひビタミンD不足を避けて下さい。体の健康のため、また虫歯予防のためにもです。もちろん、毎日良く歯磨きとフロスをし、歯医者さんでの定期検診、またクリーニングもして下さい。検診、クリーニング、また治療のためにはお電話下さい。