歯牙欠損と認知症と歯槽膿漏 October 2021  

まず10月にはハロウィーンがあるので、ハロウィーンのお菓子について少し書きます。10月というか9月のうちからアメリカではいろいろなお店でハロウィーン用のお菓子がたくさん並べられ、買ってくれ、食べてくれと誘います。そして、お菓子の袋が自宅のすぐ手の届くところに置いてあると、ついついお菓子を間食してしまいやすくなります。しかし、甘いものを間食としてだらだらと口に入れてしまう事は歯に虫歯になってくれと行動をとっている事でもあります。従って、ハロウィーンだけでなくいつもしていただきたい事ではありますが、お菓子での間食をたくさんしないように気をつけてください。ハロウィーンのお菓子については前にも何回か書いていて、その中の “ハロウィーンお菓子に対するむし歯予防策 October 2019” をホームページに掲載してあるので、よろしければお読みください。

では、今回の記事にいきます。私はアメリカ生活がもうすぐ50年と長いので、英語でのTooth Lossの意味は普通にわかるのですが、日本語での歯科用語は何かと思い検索してみました。日本語では“歯牙欠損(しがけっそん)”でした。簡単には “歯を失くしてしまう事” なのですが、まあこの言い方かっこいいじゃんと思いました。しかし、歯を失くしてしまう事は全然良い事ではありません。歯を失くしてしまうと食べ物がかみにくくなり、良く栄養も摂れなくなります。しかも良く噛めないという事は認知症にも繋がります。そこで、今回は歯牙欠損と認知症、そして歯を失くす一番の原因の歯槽膿漏について書きます。

歯を失くす事と認知症の繋がりについてはいくつかの研究があり、これらの研究をまとめて分析した研究論文が今年発表されました。この研究論文では14の研究の結果をまとめていて、多く歯を失っている人は歯のある人のだいたい1.5倍から1.3倍の率で認知症になる可能性があると結論が出されています。また失った歯の数が増すと認知症になる可能性も増すという結論がでています。ただ、歯を失っても入れ歯で治していれば、認知症になる可能性は減るとも書かれています。つまり、歯を失くすと噛む事が出来なくなるのですが、噛む事が出来るようにすれば、認知症になる可能性は減るのです。噛むという動作は脳を刺激して活性化させていると考えられています。

なーんだ、歯を失くしてもそれを治して歯があるようにすれば良いのではないかと思われるかもしれません。しかし、考えないといけない事がもうひとつあります。歯を失くす理由は歯槽膿漏、虫歯、そして事故といくつかありますが、その中で一番の理由は歯槽膿漏です。歯槽膿漏は歯と歯茎の間にばい菌が住み着き起こるもので、まず歯と歯茎の繋がりを失くし、そして次に歯周骨を失くさせ、最終的には歯の支えを無くさせ歯が抜けてしまうという病気です。普通は長い年月の間少しずつダメージを与えていき、しかもその間の大部分は痛みがないものでもあります。しかし、歯槽膿漏はばい菌と炎症物質を血流を通して体中に回します。脳にも歯槽膿漏のばい菌は届いています。この事は認知症にも繋がっています。つまり、歯を失くす一番の理由の歯槽膿漏、歯を失くしてしまった後の噛み具合の悪さ、そして認知症は皆関係しているのです。

皆さん、歯槽膿漏の予防は基本的に歯と歯茎の間を毎日きれいに掃除する事です。治療もまずは出来るだけ良く歯と歯茎の間を掃除する事です。毎日歯磨きとフロス、またウォーターピックや歯間ブラシもよいですから、いろいろな事をして歯と歯茎の間をきれいにしてください。悪いばい菌や異物が歯と歯茎の間に存在しなければ良いのです。もちろん、遺伝的に簡単に歯槽膿漏になりやすい方もおられます。しかし、そういう方でも掃除が行き届いていればいるほど歯を失くす可能性が減ります。また、歯医者さんでの定期的なクリーニングもして下さい。自分ではとれていない歯垢や歯石を取り除く事が出来ます。普通は6ヵ月ごと、そして歯槽膿漏になってしまった事がある方は3ヵ月ごとには歯医者さんでのクリーニングをする事をお勧めします。

私たちの体は全体的に繋がっています。口内で起こる事は体全体にも影響を及ぼします。 口内の健康は認知症にも関係します。従って、毎日歯磨きとフロスを良くし、定期的な歯医者さんでの検診とクリーニングもしてください。また、良く噛めるように歯と歯茎も治療が必要であれば、早めに治してください。定期検診、クリーニング、そして治療のためにはお電話ください。

       

 

 

 

 
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