歯の治療と歯の噛み合わせ December 2019

また師走がやってきました。皆さん、この忙しく、そして寒い中、温かいものを食べて、体を大事にして下さい。もちろん、歯の健康も気にして、毎日の歯磨きとフロスを怠らないで下さい。ところで、歯を失くす原因は虫歯と歯槽膿漏だという事はだいたいわかると思います。ただ歯の噛み具合も原因のひとつなのです。直接にでは無いのですが、長い目で見ると、上下の歯がうまく合っていないと変に一部の歯たちだけに噛む時に力が加わってしまい、その歯が割れたり、ぐらぐらしてしまいます。実際、歯を一本でも治す際、全体の噛み合いを診てどう治すかを判断する必要性があります。そこで今回は歯の治療をする際の歯の噛み合わせへの歯医者の気配りの大切さについて書きます。

まず、牛について書きます。来年はネズミ年ですし、なんで牛についてなのかと思われるかもしれませんが、私は昔ある歯科の世界では知られている方の講義を聞いていた際、その方が言った事を覚えています。彼は“Once a Cow, Always a Cow” つまり一度牛だったらいつも牛なのだと言われました。これは咬合学、つまり歯の噛み合わせの学問、の講義でちょこっと言われた事で、噛む時に牛のように噛む人は歯の治療後もやはり牛のように噛むという事を言っているのです。牛は毎日8時間以上噛む事をします。そして、噛む作業は歯を横に動かして食物を磨っている感じで、なんとなくガムを噛んでいるように見えます。牛は食べ物を口に入れて、噛んで飲み込み、そして胃に入れた後その食物を吐き出してまた噛んで飲み込み、今度はその食物はもうひとつの違う胃に届けるという事をします。牛にとってはいつも噛んでいて、しかも歯を横に滑らして噛むという事は普通なのです。テレビで、または実際牧場で牛を見た事があれば、この噛んでいる様子がわかると思います。もちろん私たちは1日に8時間も噛む事はしません。そして、私たちは噛む時、実際はみな同じ様にでは無く、人それぞれちょっと違った感じでしています。しかし、ずいぶん歯を削ってしまう方はいます。つまり、歯医者は患者さんの口の中を診て、全体に歯が削れていたり、短くなっていたり、割れていたりとみた場合、この患者さんは噛み方が牛のように多くぎりぎりとしていると判断出来ます。そして歯の治療はこの方の噛み方に合わせてします。歯の形、また上下の歯が顎をいろいろ動かした時にどういう風に噛み合うかを考えて治すのです。この中で実際は牛のように噛むという以外にも、これはネズミ年にあわせてではないのですが、ネズミのように噛む方もいます。もちろん、人間は牛やネズミではないので、簡単な例えでしかないのですが、皆どのように噛むかは違うのです。もちろん、咬合学をある程度把握している歯医者、また良い治療をする事を気にする歯医者であればその患者さんの噛み合いを考えて治療をします。

咬合学的にはいくつかこういう方はこういう噛み合いにするべきという考えがあります。そして歯を一本でも治す際、出来るだけ噛み合わせがその方に良い所になるようにと考えてします。もちろん患者さんの噛み合わせが最初から良ければ、噛み合わせをあまり気にしなくても治療が出来ます。逆に噛み合わせが変だと、どのように治すかが難しくなります。簡単な例として、もし下の奥歯一本の歯を治す場合にその歯と噛み合っている上の歯が下に突き出ていた場合、この上の歯を削るなりなんらかの治療をするなりして突き出ていないようにして、そしてその上の歯に噛み合いを合わせて下の歯を治すという事をする必要性があります。これをしないと、いろいろ顎を動かして噛む時、変に上の歯に負担がかかります。しかも、気にしないといけない事が、寝ている際で、寝ている時無意識に私たちは顎をいろいろな方向に動かしている事があるのです。なんでこんなところまで顎を動かすのだろうと思うところまで動かしている場合があります。上下の歯の噛み合わせが良ければこういう時にも歯はみな変にあたって削れてしまう、割れてしまうという事から、限りはありますが、守られます。

本来は当たり前の事で、歯医者誰もが噛み合わせを気にして治していると考えたいのですが、現実的にはそうではありません。困った事に、誰か前の歯医者さんが、変な噛み合わせのところに合わせて大きな治療のクラウンやブリッジというものをしてしまっているという事を私は検診の際に診る事があります。どういう状況の中でこの前の治療がされていたのかはわからないのですが、歯医者さんに咬合学の知識があまり無かったとか良い治療をする気が無かったとかは考えられます。昔、また違う知られている歯医者さんの講義を聞いた時に彼は知識が無い人は知識がある人が見えるものが見えないので治療内容もそれなりのもので良いと思っているという事を言っていました。どんな歯医者さんも完璧な事はないのですが、その中で、私は自分が出来る限りに良い治療をする事を心がけています。必要な時には患者さんの頭部と歯の位置関係を示すためのフェイスボウという特別な装置を使う事もあります。これをもとに咬合器というものに歯の模型をつけて治療に使う場合があります。もちろん、いつも思うのですが、どの世界でも一つの事がずいぶんわかってくるとその世界はもっと深くまでいろいろある事がわかり、つまり勉強に限りはありません。

私たちの体は実際は歯の噛み合いが悪くてもある程度までは問題無くそのまま保とうとしてくれます。ただ長い目で見ると問題が起こってきます。歯が割れる、歯を失くす、歯が痛む、また肩こりや頭痛も起こり得ます。そこで、私はいつも噛み合わせの事を考えて治療をしています。

みなさん、もちろん毎日の歯磨きとフロスは大事なので欠かさず続けてください。歯医者での定期検診とクリーニングもして下さい。検診、クリーニング、そして治療のためにはお電話ください。

 

 

 

 

 
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