優れた技法による複合レジン充填 March 2019

なんか長い題だと思われるかもしれません。しかし、今だいたいの歯医者さんは多くこの複合レジンというものを歯を詰める時に使っています。私も歯を治す時にもちろん良く使っています。でも、このレジン充填は歯医者さんの技法にとても左右されます。そこで、今回は複合レジンについて詳しく書かせていただきます。

複合レジンは歯に詰める材質の一種で、ガラスやセラミックの微粒子とレジン(つまりプラスチック)を混ぜて作られています。混ぜてあるので、"複合"と名がつき、そして、英語ではその通りにComposite Resinと呼ばれています。日本語でもコンポジットレジンと呼ばれます。実際はこの微粒子の量が80%ぐらいで、レジンの量は20%ぐらいです。色は歯と同じに出来、透明度もあります。そして今の大部分の複合レジンは詰める時にはやわらかく、特別な周波の光を当てると固まるように出来ています。簡単に青い光で、この同じ光は指の爪のネールアートをする時にも使われています。そして、複合レジンであれば、他の材料を使う治療よりも一番少なく歯を削ってする事が出来ます。しかも、複合レジンに使う接着剤もとても良く、うまく使えば強く歯に付着します。

それは良いと思われるかも知れませんが、弱点、欠点もあります。まず、複合レジンはやはりプラスチックなので、とても大きな穴を埋める事にはむいていません。ある程度の大きさまでのむし歯を治すためのものなのです。もちろん、とても大きな穴を埋める事は可能ですが、ただ、レジンが割れてしまう恐れがあります。

そして、複合レジンはそれを使う歯医者さんの技法にとても左右されます。まず、複合レジンにはたくさんの種類があり、このいろいろな種類のレジンのどれをどう使うかを分かっていないといけません。複合レジンの中に入っている粒子の大きさ、量、質に関係して使い方が変わります。しかも、違う歯科材料の業者がいろいろな名前の複合レジンを販売しています。そして、どの業者も自分たちのレジンがとても良いと宣伝しています。もちろん、その中で本当に良いと分かっているレジンはあります。アメリカの歯科の世界ではどの業者とも関係を持たずに歯科に使う材料や器具を試して比べる調査をする団体がいくつかあります。その調査団体たちが認めて良いとする材料はもちろんあり、私はその中で優れて良いとされている複合レジンのみを使用しています。私は実際は他の材料や器具もそうして使っています。また、複合レジンの接着剤も同じ様にたくさんあり、この接着剤も私は同じに調査団体が優れているとしているもののみ使っています。しかし、良い材料を使うだけでなく、その材料の使い方を解っていてうまく使う必要性があります。すべての複合レジンと接着剤は少しずつ使い方が違うのです。料理でもちょっとした仕方や順序の違いなどで、出来上がった料理に違いがありますが、その通りの事が複合レジンとその接着剤にもおこります。また、どの複合レジンも固まる時に少し、微量に縮むのです。目には見えないほどですし、この縮み具合もレジンによって違うのですが、この事も把握して歯を埋める作業をする必要性があります。しかも、複合レジンは水分に弱いのです。歯が乾いていないとうまく歯に付着しませんし、うまく固まりません。つまり、とても気を使って丁寧に歯に充填する必要性があるのです。

従って、複合レジンはする歯医者によってずいぶん質が変わってしまうのです。もちろん良い治療であれば長持ちしますし、そうでなければ隙間がすぐ空いたり取れてしまったりします。いろいろな研究データをまとめてみたデータがあり、それでは全体的に複合レジンでの治療は60%は10年持つといえ、そして治療が良ければ、10年以上持って良いとされています。もちろん、どれだけ詰め物が長持ちするかはその患者さんがどれだけ虫歯になりやすいか、またどれだけ歯の手入れが良いか、また噛む力がどうだかと、いろいろな事が関係してくるので、実際は人それぞれ違います。しかし、簡単に良い材料をうまく使えば良い治療になり、逆にあまりよくない材料をへたに使えば悪い治療になるのです。もちろん、この事は他の歯科治療に対しても同じに当てはまりますが、複合レジン充填は特に歯医者の知識、技法、そしてどれだけ良い治療をするという信念があるかにとても左右されます。

今回は複合レジンに絞って書いていますが、他にもいろいろ歯を治すための材料があります。本来は患者さんの個々の歯の状態に合ったものを使い歯を治すべきで、私はもちろんそうしています。しかし、歯に使えるのであれば、良い複合レジンを出来るだけ良い方法で充填する事をしています。

日本では奥歯の歯の詰め物は保険内治療であれば銀になる事を日本人の方はご存知だと思います。実際は複合レジンも日本の保険の適用内なのです。しかし、保険での支払いが複合レジンであると少なすぎて、歯医者さんは丁寧な複合レジン充填をしてしまうと時間をとりすぎてしまい、つまり金銭的には損をしてしまうという仕組みなのです。銀の治療はきちんとした治療であれば良いのですが、ただ物理的に歯を多く削る必要がある治療法です。従って、もしこの銀の治療がうまくされていなかったり、またその歯に虫歯が出来てしまったりすると、次の治療は大きい治療になってしまう可能性が高いのです。しかも本来は複合レジンでもっと少なく歯を削るだけで治せたかもしれないという疑問もあります。ただ、複合レジンだから良いのではなく、良い複合レジン充填でなければする意味はありません。

私はアメリカで歯科医をしていて、しかも歯科医歴も長く、自分が患者さんに良いと思う治療のみをする事が出来ます。ありがたい事です。いつもの様に良い治療をしていく事を励んでいきます。みなさん、もちろん毎日の歯磨きとフロスを良くして、また歯医者さんでの定期的な診察とクリーニングをして下さい。診察、クリーニング、また治療のためにはお電話下さい。

 

 

 

 

 
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