歯周病と粥状動脈硬化 May 2017

まず母の日おめでとうございます。

今回の記事にいきます。何回か前に歯周病と体の病の関係について書いています。歯周病のバイ菌は歯と歯茎の間に入り、侵し、住みつきます。そしてそうなると歯茎は炎症を起こします。この際、歯周病のバイ菌たちと炎症物質は血管を通して体中に回っていきます。この事が体中のいろいろな病気に関わります。最近のいろいろな研究はこの歯周病と体の他の病気の繋がりをより明らかにしてきています。今回はこの繋がりについて「粥状動脈硬化」に絞って書かせて頂きます。

粥状動脈硬化とはなんなのだと思われるかもしれません。一般的に動脈硬化と呼ばれているものはこの粥状動脈硬化のことを指していて、じゅくじょう動脈硬化、と読みます。お粥のようにどろどろした状態のものが動脈の内壁にたくさん付着して起こるので“粥状”と呼ばれています。そして、この動脈硬化はまず血管の内側に傷がつき、そこにLDLコレステロールというものが付着し、溜まっていき、そして血管の壁の中の方にも入っていき起こります。もちろんそうなると、その部分は変に出っ張っていき、血管を狭くします。血管が狭くなってしまえば、酸素や栄養素がいろいろな体の箇所に運ばれにくくなります。そしてこの付着したものが割れると、そこに血のかたまり(血栓)が出来てしまい、血流を完全に止めてしまう事もあります。またこの血栓が血流に乗って他の細い動脈に行き、そこを詰めて血流を止めてしまう事もあります。つまり、心筋梗塞や脳梗塞が起こる事に繋がります。従って、死にもいたるので、とても怖い現象です。

では、LDLコレステロールとはなんなのだと思われるかもしれません。コレステロールという名称はだいだいの方は耳にしていると思います。実際コレステロールは体に必要な大事な脂質で、骨や筋肉の細胞膜の材料であり、またいろいろなホルモンの材料でもあります。そしてコレステロールは肝臓から血流を通して体中に行き、余計なコレステロールは肝臓に戻るという仕組みになっています。コレステロールは脂質なので、そのまま血管の中を通っていくのでは無く、特別なたんぱく質に覆われて輸送されます。肝臓から他の体の箇所に行く時にはLDL (Low Density Lipoprotein)と言うたんぱく質に繋がり、肝臓に戻る時にはHDL (High Density Lipoprotein)と言うたんぱく質に繋がります。つまり、LDLとHDLはコレステロールの輸送船のようなものです。健康管理のために血液検査を受けた事があると記憶があるかもしれませんが、通常必ずLDLとHDLの量を測ります。そして、LDLコレステロールは悪玉コレステロール、HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれています。本来、LDLが悪でHDLが善なのでは無いのですが、LDLコレステロールが多いと動脈硬化になる可能性が多くなり、HDLコレステロールが多いと可能性が少なくなります。LDLはいろいろな体の箇所にコレステロールを持っていくためのもので、もちろん血管の内幕のところにも繋がる事ができます。その逆にHDLコレステロールが多ければHDLはコレステロールを肝臓に持っていく役目を持っているので、血管の内幕に繋がるのでは無く、むしろ取り除いてコレステロールを肝臓に移動させます。肝臓からはコレステロールは再使用されるか代謝されるかが起こります。従って、LDLとHDLがどれだけ血液内にあるかが大事な数値になるのです。この数値は食事、運動、高血圧、糖尿病などいろいろな事に左右されます。

この中で、粥状動脈硬化は歯周病のバイ菌にも影響される事が今は解っています。血管の中に歯周病のバイ菌が入っていくとバイ菌は血管の内側の壁に傷をつけます。血管の内幕の細胞と細胞の間を裂き、LDLコレステロールがそこに繋がりやすくします。しかもある歯周病のバイ菌たちはLDLがそこからこの壁の中の方まで入る事を誘導することをします。そしてまたある歯周病のバイ菌たちはLDLの量を増やす作業を助けます。今の地点では歯周病のバイ菌のどの種類とどの種類がどのように動脈硬化に貢献しているかが解って来ています。従って、歯周病になってしまった場合、運が良ければ動脈硬化には繋がらないバイ菌たちだけに侵されているのかもしれませんが、運が悪ければ動脈硬化に繋がっていきます。どちらにせよ歯周病は歯を失わせてしまう大きな要素ですので、ひどく悪化する前に治していただきたいです。

前にも書いていますが、私達の体のいろいろな箇所は皆繋がっています。一か所に異変があると他の箇所も影響されます。従って口内の健康も口内だけでなく体全体の健康のためと考え大切にして下さい。歯周病そして虫歯の予防と治療は大事です。もちろん一番の予防が毎日の歯磨きとフロス、そして定期的な歯医者でのクリーニングです。歯周病も虫歯も大きく悪化する前に治療する事をお勧めします。検診、クリーニング、また治療のためにはお電話下さい。

 

 

 

 
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