歯科技工士さんの悩み   May 2015

歯の治療をする際のチームの中で歯医者にも患者さんにもとても大事な人が歯科技工士です。歯科技工士はクラウン(差し歯)や入れ歯を作る人ですから、作る事が上手な人である必要性があります。それと共に歯医者が歯科技工士に渡す歯型も良いものである必要性があります。当たり前すぎる事のはずなのですが、このアメリカでも困った現実と言うものがあります。そこで、今回は歯科技工士さんの歯医者に対するある悩みについて書きます。

つい最近アメリカのClinicians Reportという歯医者の中では良く知られている出版物に記載されたものがあります。そこにはアメリカ内の歯科技工士たちの大きな不満は歯医者から渡される歯型の9割は良く無いということだと書いていました。一般の人はそんな馬鹿なと思うかもしれません。また、アメリカは歯科治療が進んでいるのではないかと思われる方もいると思います。どういうアンケートからこの数字が出てきたのかはこの記事には載っていなかったので、この数字は過剰に大きくされているのかもしれません。しかし、実際私自身もこれほどの大きな割合でなくても多くの歯型は良くないものだという事を知っています。私は弟がアメリカで歯科技工士をしているので、彼の話を良く聞きますし、また自らたくさんの他の歯医者さんのとった歯型を診ている経験があります。昔昔歯医者になる前に弟のラボで彼の仕事を少しですが助けていたことがあります。彼は今はロスアンゼルス在住で私は一緒に仕事をしているのではありませんが、歯科技工士の見ている歯科の世界をある程度知っています。

しかしもし良くない歯型が多いとしてもなぜそうなのでしょう。金銭的にだけ物事を考えればこれは解ります。歯医者が儲けを増すためには患者さんの歯を診ている時間を出来るだけ短縮し、しかし治療はたくさんする事はひとつの手段です。そして時間を出来るだけ使わないで患者さんの歯の治療をするためには歯型を一回とってそれが良くなくてもまあいいや使えるだろうとして終わらせることは簡単に出来ます。また、歯型をとる前の歯の削り方やいろいろな手順もきちんとやるためには時間をとりますが、それもある程度はぶいてしまう事も出来ます。また歯型をとるための材料も安くはないので1回めが良くなくても2回、3回ととるともっと時間とお金がかかります。しかも患者さんからすれば丁寧に時間をかけるよりも早く治療が終わったほうがその時は楽といえばそうです。また、つくられたクラウンや入れ歯は患者さんにとっては良し悪しがわからない場合は多くあります。歯医者と歯科技工士だけが本当の質を知っていることが多いのです。もちろん、歯医者さんの性格と倫理性がとても関係してきます。日本での保険内の歯の治療ですと、治療費がとても安いので、どうしても多く患者さんを診て、ひとりひとりに時間は出来るだけとらないようにするというようにしないと商売にならないという理屈がなりたちますが、これもある程度の治療しか出来なくしてしまいます。アメリカでももし安い治療費なのであれば、同じことが言えますが、そうでない場合、たんに金儲けに徹しているかまたはへたくそなだけとも言えます。

ここまで読まれるとなんと歯科の世界はめちゃくちゃなんだろうと思われるかもしれません。しかし歯医者さんだけで無く、歯科技工士もぴんからきりまでいます。そして技工士の値段もとても安いところからとても高いものまでさまざまです。本当に安くクラウンを作るためには中国やフィリピンにアメリカから歯型を送り作らせる事が今は出来、実際にされています。

おいおいこれは作り話ではないのかと思われるかもしれませんが、現実は歯医者も歯科技工士も、そして患者さんも歯の治療の質を気にしていない事はとても多くあります。患者さんは解らないでいるだけということは言えますが、絶対ではありませんが、日本でもアメリカでも安かろう悪かろうと言うことが出来ます。

このへんで、でも馬場歯科は違うと書かれるだろうと思われるかもしれません。はっきり確かに私の治療は違うと簡単に言えます。私には歯という患者さんの体の一部に変な事をする事は考えられません。プロとしてきちんと出来るだけ良い治療をする事をいつも気にしています。もちろん人間のする事に完璧なものはありませんし、人間の体は何をしても治らない場合もあります。でも、出来るだけのことをするべきです。私の使っている歯科技工士の方たちは私が認めている良い仕事をする人たちです。彼らはそれなりの費用もとっていますが、患者さんの口内に入るものは良いものであるべきです。安ければ、そして痛くなければ、クラウンと歯との間にずいぶん隙間が開いていてもかまわないと考える患者さんはきっとおられると思いますが、長い目で見ると必ず良い治療の方がお得です。悪い治療はいつかそれを治すことになった場合とても治療が難しくなり、もう歯を抜くしかないという事もありえます。もちろん、大きな治療が必要になる前に問題が小さいうちに治す事はベストですし、まずは、毎日の歯磨きとフロスを良くして予防をする事が一番大事です。歯医者での定期的なクリーニングも本当にお勧めです。歯の検診、クリーニング、治療のためにはお電話下さい。

 

 

 

 

 
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