妊娠中の歯の手入れ   April 2015

特に日本では春はいろいろな事が始まる時です。もちろん、赤ちゃんを宿すと言う事はその子の新しい人生の始まりに繋がるとてもおめでたい事です。ずいぶん前に妊娠と歯茎について書いています。(妊娠と歯周病 Summer 2003-2 を当医院のホームページにてお読み下さい。)妊娠中は体にいろいろな変化が起こります。したがって今回は妊娠中の歯の手入れの注意事項について少し詳しく書かせて頂きます。

前に書いていますし、今はご存知の方も多いかと思いますが、妊娠中にカルシウムを歯から胎児にとられるという事はありません。しかしこう言い伝えられている理由はあります。やはり前に書いていますが、妊娠中は2つのホルモン(エストロジェンとプロジェステロン)の量が多くなり、この事は歯茎のバイ菌に対しての対抗力を弱め、歯茎が炎症しやすくなります。つまり、歯槽膿漏になりやすいのです。またホルモンに関係して唾液の分泌量も少なくなります。しかも、つわりがある場合、吐いてしまうと胃酸が口内を酸性にする事になります。また、気持悪くなり、どうも歯磨きがしずらいという場合もあります。それと共に特別に酸っぱいものや甘いものを食べたくなる事もあり、またまた口内を酸性にします。プラスに今度は胎児が大きくなっていくと胃が圧迫され一回に食べられる量が少なくなり、間食も増えていきます。もちろん、これらの事は皆歯を虫歯になりやすくします。従って、お母さんにとって妊娠中は歯槽膿漏にも虫歯にもなりやすいし両方が悪化しやすい時なのです。つまり、歯を悪くする、もしくは失くしてしまう可能性が高いのです。しかも歯槽膿漏がひどければ、炎症とバクテリアが関係して、早期分娩になり、赤ちゃんが未熟児として生まれてしまう可能性が高まります。そして赤ちゃんの口内には生まれる前にはバイ菌はいないのですが、生まれた後に口内に誰かから移ります。もちろん一番お母さんの口内から移る可能性が高いので、お母さんの口内にたくさん虫歯と歯槽膿漏のバイ菌が住んでいると、子供にもたくさん虫歯が出来、また歯槽膿漏にもなってしまう可能性が高まります。

従って、妊娠中は特に歯磨きとフロスをきちんとする事を心掛けて下さい。妊娠初期につわりがあり、歯を磨こうとすると気持ち悪くなるという事があれば、下にうつむいて、そして歯磨き粉も出来るだけ味のないものを使うかそれも出来なければ歯磨き粉は使わないで歯を磨くという事を試してみて下さい。うつむいてすると正面を見てするよりも楽な場合があります。また歯ブラシはいつもよりも小さいもの(子供用でも良いです)を使って出来るだけ舌に触らないように磨くという事も試してみて下さい。どうしても歯磨きが出来ないのであれば、水で濯ぐだけでも何もしないよりは良いです。また、朝は難しいが、午後には大丈夫という事があればそういう時に歯を磨いて下さい。もちろん基本的には朝晩と歯磨きをして頂きたいところです。やはりフロスもしていただきたいのですが、ウォーターピックの方が楽であれば、そちらを使って下さい。また、吐いてしまっていても、その後水で濯ぐだけでも、口内は酸性から中性に近づきますからそうして下さい。もちろんつわりがおさまった後もつわりが無い方も毎日朝晩と歯磨きを良くし、フロスも一日一回はする事を本当にお勧めします。そして、歯医者さんでの定期クリーニングも妊娠中もして下さい。

妊娠中は歯の治療は可能かと思われる方はおられるかと思います。実際大丈夫です。ただ、妊娠初期の3ヶ月は胎児のいろいろな器官が出来あがっていく時なので、歯の治療は普通避けます。基本的にはその後からは歯科治療は出来ます。もちろん、かかりつけの産婦人科の先生の許可、承諾を得てからします。また、妊娠後期に仰向けで座っている事ができない場合治療は無理にはしません。レントゲンも口内だけですし、防護用エプロンをして撮影するので大丈夫です。もちろん、必要でなければ撮りません。

やはり、妊娠する以前に口内を健康な状態にしておくことが一番理想的です。実際は妊娠中だからでは無く、また男性の方も、普段から毎日の歯磨きとフロス、そして歯医者での定期検診とクリーニングをしていただけると、一番口内の健康、そしてそれに繋がって体全体の健康にとても良いです。地味な事のようですが、本当にお勧めします。もちろん、検診、クリーニング、そして治療のためにはお電話下さい。

 

 

 

 

 
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