象牙質を破壊する物質   March 2014 -1

以前象牙質内の虫歯の進行についてニュースレターで書きました。詳しくはホームページ内の 象牙質内の虫歯の進行と痛み July 2010 を是非お読み下さい。簡単に言うと、象牙質に虫歯が達すると虫歯菌からの酸だけで無く、私達の体が作っている酵素が象牙質を破壊しだす事を今は解っています。酵素のMMPと言う物が一番知られていますが、他の酵素も同じ事を象牙質内でしています。私達の体がバイ菌から歯を守ろうとするがそれが実際は象牙質の破壊に繋がってしまうと言う事なのですが、今回はこの酵素の象牙質内の働きについてもう少し書かせていただきます。

私たちの体内にはMMP(matrix metalloprotease)また他にもCT(cysteine cathepsin)といろいろな破壊酵素が存在しています。実際は炎症を起こした時に体がそこに異物から体を守るために送るものの中にもこの酵素が入っています。従って、歯槽膿漏になってしまって炎症によって歯茎や骨が破壊されてしまう時にもこの酵素たちは働いています。またMMPは永久歯と乳歯が生えかわる時に乳歯の根を失くしてあげて乳歯が取れるようにする時にも体が使っています。困った事にまれなのですが、MMPやCTは暴走する事もあります。原因不明に永久歯の根に穴が空いていく事もあります。また歯科矯正で根を押す力が急だったり強すぎたりすると根を溶かしていく事があり、歯をぶつけてしまうとすぐでは無く何年か後に根が溶けていくこともあります。これは皆この破壊酵素が働いておきています。

もっとやっかいな事にこのMMPは歯に詰め物をつける際に使う接着剤のBonding Agentの効き目を弱める作業もします。今でもエナメル質には接着力は強くできるが、象牙質には不定なところがあると考えられています。これはMMPが象牙質内の異物が付いている所で働こうとしてしまうからです。しかしちょっと安心して下さい。もちろんいろいろな研究は進んでいて、MMPの作業を止める薬が今はいくつかあります。Chlorohexidine, Benzalkonium Chloride, EDCなどいろいろあります。まだ新しい事すぎてもっとデータが必要なのですが、今現在は虫歯をとり除いた後、Chlorohexidineをつけてから詰め物の接着をする事は出来ますし、または接着剤自身にBenzalkonium Chlorideが入っているものもあります。私は歯に詰め物をする際にはこの薬の入っているBonding Agentを使い、クラウンなど歯にかぶせる前には薬をつけてから接着しています。これらの薬には殺菌作用もあり、今現在出来る限りの事をするという考えでしています。

歯の構造や虫歯の進行についてはいろいろ解ってきていますし、虫歯を治す技術もとても進化してきています。そしてこれからもっと解ってきて、もっと進歩していくと思います。しかしだからといって虫歯が大きくなるのを待たないでください。前にも書きましたが、象牙質内の接着力は神経に近くなればなるほど弱くなってしまう事も解っています。従って、詰め物の接着力を考えただけでも虫歯は小さいうちにできるだけ早く治す事はとても賢明です。もちろん予防が一番大事です。毎日歯磨きとフロスを怠らないで良くして下さい。そして本当に定期検診と定期クリーニングもおすすめします。そして、もし治療が必要であれば、お助けしますのでお電話下さい。

 

 

 

 

 
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