頭の回転と歯槽膿漏   January 2014

あけましておめでとうございます。今年が皆さんにとってとても良い年であることを心から願います。ずいぶん昔私は大学生の時にある心理学のクラスで使われた本の中で頭脳と身体は繋がっている、別々に考える物では無いと読んだ事があります。この本は、実際、人と社会、人と自然、国同士、そしてちょっと飛びますが、時間と空間も、つまり何もかもとても繋がっていて別々のものでは無いと言う事を書いていました。私はこの考えはとても好きなのですが、歯医者として、今回は歯槽膿漏と頭の回転にもやはり繋がりがあるので、この事について書かせて頂きます。

ある研究調査が歯槽膿漏にかかっていた人は55歳~85歳と歳をとった時に思考力、記憶力が下がってしまうというデータを出しています。実際はいろいろな他の研究データは50~80歳ぐらいの方で歯が無い人は歯がある人よりも思考力や記憶力が下がっているという事を示しています。そしてこの中で統計的には一番思考力が下がる人は完全に歯が無い人と言う事もデータがあります。統計的にですのでもちろん完全に歯が無くても頭の回転が良い人はおられます。しかしこのデータだけでは頭の回転が悪くなってしまったから歯の手入れを怠ってしまい、それで歯を失うまでになってしまったのではないかとも考えられます。つまり、思考力や記憶力が低下した事と歯を失う事はどちらが先におこったのかはちょっと前までは解らなかったのです。ですが、1996年~1998までされたアメリカでの研究調査の結果が歯槽膿漏と頭脳の関係をずいぶんはっきりさせてくれました。この調査ではアメリカの1万人以上の人たちの歯茎の状態と歯がどれだけあるかを調べ、そして思考力と記憶力のテストもしました。年齢は55~85歳の方たちでした。とても詳しい調査で、歯槽膿漏は頭の回転を悪くするという事を裏付けています。やはり、歯が無ければ無い程頭の回転のテストの点数が低かったのですが、歯を失くした理由も聞いていて、70%は歯槽膿漏にずっとなっていて歯を失くした人たちでした。そして、歯があっても、歯槽膿漏の度合いが悪ければ悪い程やはり頭の回転のテストの点数が低かったのです。

どういう事なのかと思われるかも知れませんが、実際は理が通っています。歯槽膿漏は長く時間をかけてじょじょに歯の支えを失くし、最終的に歯が抜けてしまうという病気です。そしてこれは長い間歯茎と骨が炎症を続けて起こります。私たちの脳をだんだん弱めていくものの大きな原因が炎症である事も解っています。歯茎の炎症も脳の炎症も多くは慢性的に10年、20年と時間をかけてじょじょに痛みも無く解らないうちにダメージを与えていくのです。そして症状が出てきた時は非常に悪化した時なわけです。しかも前にもニュースレターで書きましたが、歯槽膿漏の炎症物質は血管を通って体中に、もちろん脳にも、回っていきます。つまり、歯茎の炎症は脳の炎症を助け、もっと脳の炎症を起こしやすくしているのです。普通歯槽膿漏で歯を失くすためにはずいぶん前から歯槽膿漏になっていて、そしてついに50~80歳あたりで歯を失くしてしまうという事が起こります。同じ時期に脳へのダメージも起こりすぎて、ついに思考力や記憶力が低下してしまいこれが見えてくるのです。もちろん、頭の回転が遅くなれば、歯と歯茎の手入れもおろそかになり得ますから、もっと歯槽膿漏は悪化するという悪循環は起こり得ます。

体の一部が不健康であると、他にも身体に影響があると言う事です。そして記憶力、思考力の衰えは認知症の始まりにも繋がっています。実際近年歯槽膿漏は心臓病や糖尿病とも繋がっている事が解ってきています。それと共に頭の回転も悪くしてしまう事も助けてしまうというとても怖い病気です。簡単に歯槽膿漏の一番の予防は歯と歯茎の間の部分をきれいにしている事です。従って、皆さん健康のために毎日歯磨きとフロスを良くし、そして歯医者さんでの定期的なクリーニングをして下さい。新しい年に気を新たに健康のために歯医者さんに行って診察、クリーニング、また必要な治療をしようと思われましたら是非お電話下さい。みなさんの歯と歯茎、そしてお体全体が健康である事を願います。

 

 

 

 

 
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