歯の質(歯は大部分結晶で出来ている) June 2013

6月16日は父への感謝の日です。お仕事にまた子育てにも励んで家族を養っているお父さんたちいつもご苦労様です。ところで、前回は酸で歯が溶ける事について書きましたが今回はそれに繋げ、歯が硬ければそれだけ歯は溶けにくいので、歯の質について書かせて頂きます。

歯は大部分ハイドロクシアパタイトという結晶体で出来ています。エナメル質の96%、そして象牙質の70%はハイドロクシアパタイトです。結晶とは何かと考えるとおもしろい化学の実験で液体の中に小さな結晶が入っていてそこに何かをするとその結晶が綺麗に形を結晶体として大きく広がるという物があります。結晶というものは出来あがる時、形を整えて出来、そして溶かしてもまた環境を変えると同じに形を整えて出来あがるものです。ハイドロクシアパタイトも同様に考えられます。前にも書きましたが、歯の表面ではこの結晶がpHが下がると溶け、また上がると歯の表面に戻るという事が毎日起こっています。ただ、この結晶体が溶けてはまた出来あがるという事が20nm(つまり髪の毛の直径の850分の1)ぐらい小さい分子たちによって起こっているので目には見えないわけです。前回書いた歯が溶けだすpHの5.5というのはつまりちょうどハイドロキシアパタイトが分解しだす酸の値なのです。そしてハイドロキシアパタイトは主にカルシウムとリンで出来ています。前にも書きましたがフッ素は歯を硬くします。フッ素はハイドロキシアパタイトが溶けた時、この結晶と繋がりもっと硬いフロロアパタイトという結晶になる事が出来る分子だからです。しかもフロロアパタイトはpHが4.5にならないと溶けません。つまり普通の歯が溶けるよりももっと酸性の環境でなければ溶けないのです。

食事は毎日必ず摂るものなので、口内は酸性になってまた中和されるという事はほぼ必ず起こると言えます。この事は実際歯の表面にとっては良い事だと考えられています。というのはこの脱灰と再石灰化がおこると唾液内にカルシウム、リン、またフッ素が豊富にあればそれが歯に多くつく事が出来、歯の表面が前のように硬くまたはもっと硬くなり得るからです。そして通常は唾液内にカルシウムとリンはたくさん存在しています。もちろん歯の表面を硬くすると言う事が歯磨き粉にフッ素が入っている、また歯医者で定期診断の際にフッ素を歯に塗るという事の主な理由です。リンとカルシウムを歯の表面により多くするためのペーストもあります。この事は前にリン酸カルシウム November 2010に書きましたので是非ホームページよりお読み下さい。つまり虫歯予防に繋がる事の一つの歯そのものを硬くする、また歯を溶けたままにしないと言う事をフッ素とリン酸カルシウムはおこなっています。しかし逆に歯が溶けてもとに戻らない状態が何回も起こってしまうと虫歯になります。

たまに患者さんに私は歯が弱いから虫歯になりやすい、また親も歯が弱かったと言われる事があります。遺伝は無くは無いのですが、これは実際はまれでだいたいは口内に住んでいる虫歯の種類が関係しています。口内のバイ菌を親が赤ちゃんに移してしまう事が一番多きな要因です。従って子供が生まれる前から親、特にお母さん、が口内の虫歯のバイ菌を減らす事がとても大事なわけです。本当の予防は親の口内からです。是非赤ちゃんの口に虫歯菌が入ってしまうのを防ぐ Summer 2003-1をホームページでお読み下さい。

もし虫歯になりやすい方であれば歯医者からフッ素が普通の市販のものよりも多く入っている歯磨き粉が手に入ります。また、リン酸カルシウムペーストも歯医者から求められます。歯の質を良くする、つまり歯を硬くすると言う事は可能です。しかしこれは歯の表面に薄く起こらせるだけです。従ってフッ素、リン酸カルシウムは予防の一部だと考えて下さい。毎日良く歯磨きとフロスをし、少なくとも6ヶ月ごとには歯医者で定期健診とクリーニングをして下さい。歯、歯茎の治療、また定期健診、クリーニングのためにはお電話下さい。

 

 

 

 

 
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