犬の歯、猫の歯、人間の歯 September 2010


犬や猫と人間には似ている所と違う所があります。歯も同じで、犬や猫は人間とは違うのですが同じ問題も持っています。今回は犬と猫の歯と歯茎を人間の歯と歯茎と比較して書かせていただきます。

まず、犬と猫について言える事は虫歯は犬と猫にはまれであるという事です。これにはいくつかの理由があるのですが、一番の理由は犬も猫も甘い物を人間のように食べないという事です。糖分を好んで食べないので虫歯のばいきんが糖分を摂り、その際酸を作って歯を溶かすという事が起こりません。逆に人間は糖分を摂りすぎている事をみなさんもご存じだと思います。近代文明では特に糖分が簡単に手に入り、しかも知っていてもいなくても口にいれてしまう事から虫歯は近代病ともいえます。困った事に私たちは甘い物だけでなく糖に分解されやすい炭水化物も好んで食べるようになってしまっているので、糖分を摂りすぎないようにするには、ひとりひとりが気をつけないといけません。犬や猫には虫歯はまれなのですが、出来ないわけではありません。特に犬は何でも口に入れてしまう可能性があるので、甘いお菓子をあげないで下さい。人間にとっておいしいから犬や猫にもおいしいのではないですから。そして、犬にとってはもうひとつ気をつけていただきたいのがキシリトールです。犬がキシリトールを食べてしまうと同じ量の砂糖を食べた時の6倍ぐらいの量のインシュリンを犬の体は分泌してしまいます。インシュリンは血糖値をコントロールする役割をもっていて、つまり犬にとってはとてつもなく血糖値が下がってしまい、危険なものです。はっきりとはしていないのですが、猫には大丈夫だと考えられています。人間にとっては虫歯を予防することのできるすぐれた甘味料なのですが、犬がまちがえて口にいれないように気をつけてください。

もうひとつ犬も猫も虫歯になりにくい理由があります。歯と歯の間の隙間が大きいという事です。人間の口内では普通隣同士の歯と歯はくっついています。従って、歯と歯の間に歯垢がついてそのままになりやすく、歯と歯の間の虫歯は多く見られます。それに比べ、犬と猫は歯と歯の間に大きく隙間があるため、掃除がしやすく虫歯になりにくいわけです。従って、私たち人間にとって歯と歯の間を掃除するためのフロスは欠かせません。1日に1回はすることを本当にお勧めします。1日にもっとすればもっと良いので、できれば2回、3回として下さい。

犬や猫には唾液が多く、また犬の唾液はアルカリ性であるという事もやはり虫歯になりにくい理由です。猫には特別に自分の体が歯を溶かしてしまう現象があるのですが、虫歯ではありません。しかし、これが進んで歯痛が起こるところまでいってしまった場合は歯を抜かないといけません。

虫歯は大丈夫なのですが、犬も猫も歯槽膿漏にはなり得ます。何回か書いていますが、虫歯と歯槽膿漏に関係するバイ菌の種類は違います。そして、人間のものと同じで、通常長い年月をかけてじょじょに歯と歯茎の間を犯し、ある日歯を失わせてしまう病気です。予防も同じで、歯垢と歯石を取り除いて歯と歯茎の間を常にきれいにしておくことが大事です。犬と猫の場合、通常1週間に2度、または1度は磨くべきと考えられていますが、もっと回数が多くても良いです。そしてこの場合人間用の歯ブラシと歯磨き粉では無く、犬や猫用の歯磨きグッズを使って下さい。特に人間用の歯磨き粉には犬や猫には合わない薬品が入っている可能性があります。しかし、自分のペットの歯磨きが出来ない場合、犬であれば犬が噛んで遊んで食べて歯を同時に清掃する事の出来る食物やおもちゃ、そして猫の飲み水に入れて口内を清潔にする液体など、いろいろなペット用グッズが市販されています。そして、定期的にペットの口の中を診てください。もし歯石がたまってしまっているようであれば、獣医さんにとってもらう必要性があります。また、犬や猫には口臭があって当然と思いがちですが、実際は歯槽膿漏が原因であることが多いので、やはり歯と歯茎の手入れには気をつけてあげてください。

犬や猫と人間はやはり歯に関しては似ているようでちょっと違います。しかし、虫歯になる、また歯槽膿漏になる原因は基本的に同じです。犬や猫を飼われている方であればきっとペットの口内の健康を大事にされていると思います。同じに自分の歯と歯茎の健康にも気を使って下さい。人間にとってはやはり毎日の歯磨きとフロスはとても大事です。それと共に歯科医院での定期的な検診とクリーニングもお勧めです。

 

 

 

 

 
ホーム | 医院紹介 | 患者様の声 | 馬場歯科便り | おすすめ歯科用品 | ロケーション | お問い合わせ

20261 Acacia Street Ste100 Newport Beach, CA 92660
Tel. 949-752-6480

© Kenichi Baba, DDS