歯のひび March 2010


バンクーバーの冬季オリンピックが終わったばかりです。特に事故が起こりやすいスポーツでは選手がマウスガードをしています。また、マウスガードを着用する事によってうまく噛み締める事ができ、微量でも他の選手よりも力を発揮出来るという理由のマウスガードもあります。ただ、このためのものについてははっきりした研究結果が出ていないのでどこまで効いてくれているかは確かではありません。しかし、歯を守るためのマウスガードはとても大事です。しかもマウスガードがあってもなくても歯を噛み締める力というのは非常に大きいのでスポーツの際、またそうでなくても歯にはとても大きな力が加わります。スポーツの際に噛み締める力は40kgから90kgあるので、自分の体重またはそれ以上の力を歯に加える事になります。普通の食事の際には10kgぐらいですがそれも毎日くりかえされます。歯はこれらの力に出来るだけ耐えてくれるのですが、それでも歯は割れてしまったり、歯にひびが入ったりしてしまい得ます。よって今回は歯に入ってしまうひびについて書かせていただきます。

通常歯にはある程度ひびが入っています。歯の表面のエナメル質には力を分散させるためのミクロのひびがたくさん入っている事は前回書きましたが、それ以外にもいろいろな歯に加わる力のためエナメル質にはひびが入っていきます。歯を良く鏡で見てみるといろいろな所にほのかにひびの線が見える場合があります。やはり歳をとってくるとこの線の数は増え、線自身も長くなり得ます。ただ、このひびがエナメル質にとどまっていれば通常痛みは無いですし、特に大きなひびで無い限り治療を急ぐ必要はありません。大部分は問題無く、そのままにしておいて良いものです。しかし、ひびが中の象牙質に達してしまうと症状が出てきます。2つの症状が起こり、一つは冷たい物がしみて痛いという事で、もう一つは噛むと痛いという事です。ひびが原因でこれらの症状がある場合には治療が必要になります。

しかし、ひびの治療には難点があります。歯のひびは歯が欠けている、歯に虫歯で穴があいているというのと違い、単に細く線があるだけなので非常にどこまでひびが達しているのかが分かりにくいのです。しかも、通常レントゲンにはひびは写りません。よって、診察により歯に大きなひびがある事を確認し、そして症状もその歯にある事を確認した場合、治療は詰め物ですむ場合から歯を抜かないといけないという場合までの可能性があると考えなければいけません。ひびを削ってとって、ひびが小さいようであれば詰め物でそこを補強してあげるだけで大丈夫です。しかしひびが大きすぎるようであれば完全に歯を覆うクラウンというもので歯を補強する必要性があります。そしてもしひびが歯の神経まで達している場合には神経をとる治療が必要になります。しかももしひびが神経に達していてそこから歯の根の奥までいっていた場合は歯を抜くしかありません。そして、どれだけひびが歯の中に入っているかは削ってひびをとってみないとわからず、またそれでも見えにくく、大丈夫そうであっても実際はもう 根の奥まであるという事もあります。もし歯を抜かないといけなくなっても、今はインプラントでの治療でそこに歯に近いものをつける事が出来ます。しかしやはりそうならないようにしたいものです。

ですから、やはり事故のおこりやすいスポーツをしている場合にはマウスガードはとてもお勧めです。特にひんぱんに歯を食いしばる癖のある方であればできるだけ気をつけて口をリラックスしてあげて下さい。夜中、また日中でも歯ぎしりや歯を食いしばる事を気付かずにしてしまっている方のためのマウスガードもあります。これは歯の噛みあう面にかぶせ、少し口が開いた状態にするため顎に力を加えにくくするというものです。どういう理由でもマウスガード(夜につけるものはナイトガードといいます)をしたいと考えている方はお連絡下さい。もちろん、他の口内の問題がある場合にも、また定期的なチェックアップと歯のクリーニングのためにもお連絡下さい。    

 

 

 

 

 
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