歯槽膿漏の予防と治療 January 2010


歯の検診の際に大人の方であれば必ず歯茎を測ります。2,3,4,5,6と歯と歯茎の間の隙間の深さをミリメーターで測っています。1本ずつの歯の表3か所、裏3か所と合計6か所をチェックしているのでたくさんの数字になるのですが、この数値は2mm~3mmは良く、4mmはぎりぎりのところ、そしてその上は良く無いといつも患者さんに説明しています。歯と歯茎の間には普通2~3mmは隙間があり、そしてその奥ではだいたい2~3mmは歯と歯茎が特別な繊維で繋がっていて、その奥では歯と骨がまた特別な繊維で繋がっています。歯と骨の間の繊維はクッションになってくれていて、つまり歯で噛んだ時に骨に伝わる力がやわらぐように出来ています。この中で、歯と歯茎の間にばいきんが入って繁殖してしまうとまず歯と歯茎の繋がりが壊され、そして次に歯と骨の繋がりと歯の周りの骨が壊されていきます。これが歯槽膿漏で、歯茎を測る作業はこのダメージがないかどうか、また、もしダメージがある場合どれぐらいあるかをチェックしているのです。もちろん、歯茎が薄いところは歯との繋がりがなくなり骨も後退すればやはり歯茎も後退します。また、歯槽膿漏になると歯茎が炎症をおこすので、歯茎が腫れている、赤くなっている、そして歯茎を触るとすぐ血が出るなどの症状も検診の際にチェックしています。

実際は、この炎症が歯茎、歯と歯茎の間の繊維、そして骨を破壊する事を助けています。本来炎症というのは体が体を傷や異物から守るためにおこすのですが、歯槽膿漏の場合、炎症物質がバイ菌を退治することはできず、出来ることとしてバイ菌から体を遠ざけるために歯茎や骨を破壊してしまうのです。もちろん、バイ菌は歯茎や骨が後退すればそこに増えて進行していきます。口の中で歯の表面についていくバイ菌はべとべとしたものを作りくっつき、そしていろいろな種類のバイ菌がこのべとべとしたものの中に住み、ようするに大きなバイ菌の町を作っていると考える必要があります。ミクロの世界なので見えないのですが、数億という数のバイ菌が歯の表面また歯と歯茎の間に住居を作ってその中に生きてどんどん繁殖しているわけです。体の送る炎症物質はこのべとべとしたもので抑えられこのバイ菌の町の表面での作業しかできず奥の方にいるバイ菌へはいけません。

通常、この歯槽膿漏のダメージは年月をかけて少しずつおこります。しかも、痛みは非常に悪くなってからのみに起こるので、静かにこつこつと歯周を犯す病気と言えます。しかし、ほうっておくとある日あまりにも歯の周りの骨がなくなっていてしかも痛みがあり、歯が抜けてしまうか、抜くしか治療は無いという事になってしまいます。よって早期発見と治療そして予防はとても大事です。

歯槽膿漏の予防と治療は簡単に掃除と言えてしまいます。バイ菌とバイ菌の町(バイオフィルム)を歯と歯茎の間から取り除きそして常にきれいにしておくことが治療でありまた予防でもあります。バイ菌の町を取り除き、それにプラスとして殺菌マウスリンスを使っていただく事もあります。よくアメリカではディープクリーニング(深く掃除をすること)をしなければいけないと歯医者さんが言う場合があるのですが、これはつまり歯槽膿漏の治療なのです。歯槽膿漏の度合いによっては麻酔をしてする必要がありますし、また1回ででは無く、2回、3回と何回かに分けてする必要もあります。非常にダメージがある場合は特別な歯茎専門医に行っていただいて歯茎を切って掃除、そして薬をつけるという事もあります。しかし、出来るだけ早期発見と早期治療をしたいところです。歯槽膿漏で無くしてしまった歯茎や骨は大部分戻っては来ません。掃除をする事によってそれ以上のダメージを防いでいると考えて下さい。歯と歯茎の間のミリメーターで測った深さは掃除をしてしかも毎日良く手入れをしていれば良くなります。骨は無くなったままですが、歯と歯茎の繋がりは前よりも弱いのですが少しもどります。また、歯茎の腫れも下がり歯茎が引き締まるのでそのことも深さを少なくします。しかし、1度歯槽膿漏で弱まってしまった歯茎はまた歯槽膿漏になる可能性が高くなってしまいます。よって、定期的な歯医者でのクリーニングも通常は6カ月に1回はお勧めなのですがもっと多く2カ月、3か月、または4カ月ごとにすることが必要になります。もちろん、毎日の歯磨きとフロスが一番の大事な事です。

誰にもお勧めなのがこの毎日の歯磨きとフロスです。これこそが歯槽膿漏の予防なので、面倒臭いと思ってもして下さい。最低に1日に2回は歯を磨き、1回はフロスをして下さい。もっとしてもいいです。歯ブラシは歯茎に対し45度の角度にして磨いて下さい。また、フロスは歯と歯茎の間に入るところまで入れて下さい。押し込むのではなく、ゆるやかにいれてそれでもずいぶん入りますから、それで良しとして下さい。歯茎が炎症をおこしていれば歯磨きやフロスの際に血は出て当然ですので、血が出ても気にせずして下さい。そして、定期的な歯医者さんでのクリーニングもして下さい。

 

 

 

 

 
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