キシリトール September 2009


キシリトール(xylitol)は甘味料の一種です。そして、キシリトールの使用は虫歯の予防になるという事はみなさんもご存じかと思います。しかし、単にキシリトールを甘味料として使っていれば良いのではなく、虫歯予防のためにはキシリトールの正しい使い方があります。そこで、今回はキシリトールとは何かとこの甘味料をどう使うべきかについて書かせていただきます。

前のニュースレターでも何回かふれていますが、キシリトールは糖アルコールという甘味料の一種でソルビトール、マルチトール、エリスリトールなど皆糖アルコールです。糖アルコールは虫歯菌にとっては良い栄養素では無く、どれも虫歯の原因にはなりません。そしてこの中でキシリトールだけは虫歯菌を代表するといえるミュータンス菌が酸を作り菌の外に出す事を阻止します。他の糖アルコールからはバイ菌が微量に酸を作ることが出来るのですが、酸が少なすぎて虫歯の素にはなりえません。他にも虫歯の原因にはならない甘味料はいろいろありますが、特別にキシリトールはミュータンス菌が糖分だと思い菌の中に入れてしまい、しかしその際栄養に出来ず、しかも菌内で生物化学反応を起こし酸の代謝さえも抑える事をします。従って、長い間キシリトールを摂っているとミュータンス菌は弱まり数が減ります。つまり、キシリトールは虫歯予防に役だつ甘味料なのです。厳密にはキシリトールを受け入れないミュータンス菌というものがあるのですが、この特殊なミュータンス菌はそのものが酸をあまり出さないつまり虫歯の素にならない菌でもあります。

しかし、キシリトールを虫歯予防のために使う場合に気をつけるポイントがいくつかあります。まずは、効果をみるために使えるものはキシリトール入りのガムか飴(タブレット)に限るという事です。他の食品ではキシリトールが入っていても口内でしかも歯の表面に長い間キシリトールがとどまっている事が出来ないからです。また、ガムや飴でもキシリトールが高濃度に入っている必要性があります。通常50%以上は甘味料がキシリトールである必要性があり、実際虫歯予防になるという結果を出している研究では甘味料が100%キシリトールなものが使われています。つまり、ガムや飴の表示を見てキシリトールの量が高濃度である事を確かめる必要性があります。もちろん、ガムや飴に砂糖がいっしょに入っていてはいけないのですが、シュガーレスのものでもキシリトールと共に他の糖アルコール、特にソルビトール、また他の甘味料が入っているものが多くあります。当然、キシリトールの濃度が100%に近ければ近いほど効果があります。                               

そして、ミュータンス菌の効果がなくなるまで菌を減らすためには、少なくとも1日3回を3カ月続けてキシリトール高濃度配合のガムか飴を使う必要性があります。1日に3回ですから毎食後にガムを噛むというのはあっています。また、虫歯になりやすい方であれば1日5回使用する事がお勧めです。つまり、毎食後、そして間食があればその後、そして夜の歯磨きの前というようにしてください。また、1回ごとに口内にガムか飴を入れている間は5分から10分必要と考えられています。つまりガムであれば味が無くなっても噛んでいるか新しいガムを口に入れて噛むかという風にして下さい。3か月後にはミュータンス菌の量は大きく減っているのですが、その後キシリトールを使うのを止めてしまうとミュータンス菌はまた増えていきます。つまり、キシリトールでの虫歯予防というのは出来る範囲のものなのですが、毎日きちんとし続ける必要性があるものでもあります。

虫歯予防のために毎日の歯磨きとフロス、正しい食生活、そして定期的な歯科検診とクリーニングはとても大事です。フッ素の使用も助けになります。キシリトールはこれにプラスに役だつものです。しかしたまにキシリトール入りのガムを噛むだけではその場でのガムの唾液を促進する効果はありますがそれ以上のバイ菌への効果は毎日続けなければあまりありません。よって誇大な期待はいけませんが、キシリトールは虫歯予防の良い助け手として使ってください。

 

 

 

 

 
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