歯周病と全身性疾患 January 2006

つい最近まで歯周病(歯槽膿漏)は口臭、歯を失くす原因などと口の中の問題だけとされていましたが、実はそうではなく全身にさまざまな影響を及ぼしている事が今明らかになってきています。今回はこの事実はとても皆様の健康のために大事なことなので今解っている事を記させていただきます。

歯周病の体への悪影響はいくつか知られています。1つは妊娠している方が歯周病になっているとなっていない方にくらべ低体重早産をしてしまう可能性が2倍以上だということです。またもう1つは歯周病になっている方が心臓血管疾患を発症する可能性は歯周病でない方にくらべやはり2倍近く高くなってしまっているという事です。しかも歯周炎の程度が悪ければ悪い程心臓や血管に異常がおきる可能性が高いとわかっています。この事はもちろん心不全や脳卒中を含みます。そしてもう1つは歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼすという事です。他の体の病にもいろいろ関連しているらしい事がだんだん判明してきています。

しかしなぜ歯周病はこの様に体に悪影響を及ぼすのでしょうか? 歯周病とは歯と歯茎の間に細菌が入ってしまって起こるものでその際私たちの体はこの感染に対し歯茎を炎症させて対応しようとします。炎症というのは体の毒物やバイキンに対しての防御作用なのですが歯周病の場合この炎症だけでは治らず逆に歯肉炎症がずっと続いてしまうのです。私たちの体はどこかが感染していれば炎症メディエイター(炎症のための化学要素)を再生しそこに送るのですが歯周病の場合歯肉を治さない限り炎症がずっと続いてしまいこの炎症メディエイターが細菌と共に血流を通して体全体に回ってしまうのです。だいたいの歯周病は年月をたてて少しずつ歯茎にダメージをあたえていくものなので気にしていなければ知らないうちに歳をとるまで放置してしまう事がおこりうる病でもあります。つまり血流の中に炎症メディエイターと細菌がずっと存在してしまう事により体全体に炎症と問題がおこりやすくなってしまうのです。よって低体重早産であれば血流を通して細菌または炎症が子宮内に届いてしまいおこると考えられています。また心臓血管疾患であれば同じ様に血流を通して炎症メディエイターと細菌が心臓と血管に作用し粥状硬化を引き起こしてしまうと考えられています。糖尿病の場合はこの病気自体がいろいろな感染を治しずらくしているのにそれと共に炎症メディエイターが肝臓に影響を与え肝臓での糖分のコントロールを妨げているらしい事が考えられています。つまり簡単に言いますと体はつながっているので一部が悪いと他にも影響を及ぼしてしまうという事です。

歯周病はそれだけでも放っておけば歯を失くしてしまう原因です。そして体にも悪影響を与えてしまう非常に怖い病気です。ですから自分の歯と歯茎のため、自分の体のため、そして生まれてくる赤ちゃんのためにも歯槽膿漏は治していただきたいですし予防もしていただきたいものです。

では歯槽膿漏の予防と治療とは? 予防はもう簡単に歯と歯茎をきれいにしている事と言えます。ですから通常の6ヶ月ごとの歯医者さんでのチェックとクリーニングはとてもお勧めします。歯茎が衰えている方であれば必要に応じてこのクリーニングを2,3,4ヶ月おきにするということもお勧めします。そして本当に大事なのは毎日の歯磨きとフロスです。歯槽膿漏の治療はまず歯と歯茎の間を奥まできれいに掃除をする事から始まります。そして歯茎に特別な薬をつけるまた特別な口をゆすぐリンスを毎日使っていただくなどして殺菌をするという事になります。非常に悪い歯槽膿漏の方であれば歯茎治療専門の先生に診てもらう事になります。また末期の歯槽膿漏であれば歯を抜かざるをえません。しかも一度歯周骨を失くしてしまうと今は少したせるのですが、完全に骨を健康な元の位置に戻す事は不可能です。ですから予防ともし歯槽膿漏になってしまっているのであれば早期治療を強くお勧めします。

 

 

 

 

 
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