ボンディング Fall 2000 -1


ボンディング(つまり、歯に詰め物をつける接着技術)は、素晴らしく進歩しています。歯というのは、電子顕微鏡の下で見ると、中がざらざらしていてたくさんの穴があいていて、また繊維質のものも入っています。液体化したレジン(プラスチィックみたいな物)をその穴や繊維やざらざらしている物とからませて固めるという事が出来たら?すばらしい事にこれが今や出来るのです。何かというと今現代は、ボンディングをすると歯とレジンを合体させた層を作る事になります。本当の科学はもっとこみいっているのですが、昔の糊の様なものでただ詰め物と歯の間を埋めて摩擦力だけで取れなくなっているというだけだったのと比べとても強い力で詰め物を歯に付ける事が今や可能になっています。

ところで歯は外側からエナメル質、象牙質、歯髄と簡単には3つの層にわかれているのですが、この中でちょっと前までは、エナメル質にはボンディングは出来ても、象牙質には出来ないとされていました。1980年にある日本人の方が、この象牙質にボンディングする方法を、彼の研究結果と共に本で発行しました。この研究者は日本に住んでいる方で、フサヤマタカオ先生といいます。当時アメリカでは、こんな事は不可能と目を向けず、なんとアメリカで使われだしたのは10年後の1990年だったのです。今やフサヤマ先生は、1997年にAmerican Dental AssociationからGold Medal Award for Excellence in Dental Researchという栄誉を頂き、実際この賞を貰った唯一の日本人とまでなっています。

しかし、せっかく日本で発明されたのに、日本では普通に銀の詰め物を付けるのには、この方法は今でも使われていない事がよくあるのを私は見ています。どう も手間と費用からして、日本の歯科保険での治療には使えないという事になっているようです。保険を使っての治療の枠外と決められているのか、保険で出る額 では経済的に歯医者さんにとっては無理なのかは私にははっきりしていないのですが、よく日本で付けた銀の詰め物がとれてしまったという患者さんからのお電 話があります。ちょっと残念ですが、この進歩の激しい世の中で、もうこんな事もだんだんなくなってくると私は思っています。

ともあれ、ボンディングも発明以来どんどん進歩して行き、今やこの方法での接着力は非常に歯自身が固まっている力に近づいています。嬉しい事です。詳しく言えば、歯の質とか、付ける時に唾液や血が付かなかったかという事によって、絶対ボンディングで付ければ取れないとは言えませんが、それでも私は、ボンディングは20世紀後半の一大発明と言っても良いと思っています。無論当医院ではボンディングが出来る場合にはすべてそうしています。

 

 

 

 

 
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